僕はインドへ帰ってきた

元バックパッカーのインド・ムンバイ&チェンナイ駐在ブログ

「カースト制度があるから、インド事業は難しい」。本当に腹の底からそのように思っていますか?

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インドは世界で最も「人口一人当たりGDP」が意味を成さない国と言われている。
皆様のイメージの通りですが、貧富の差が激しすぎて、平均値が意味を持たないということ。
(貧困層の絶対数が余りに多すぎて、ジニ係数が上がらないという意味でも有名。
 インド36.8%、日本37.9%。wow!日本の方が不平等社会だ)
 
年収1000万円の人と年収100万円の人が居て、平均年収は550万円です、と言っても
この550万円という数字はどちらにとっても意味を成さないということ。
問題は、貧困層が約8億人いるとされ、彼ら彼女らはずーっと放置されたまま経済成長しているので、
貧富の差が開く一方。時折,カーストにまつわるデモが起きると「イメージ通り」ということで
日本のマスコミが喜んで記事にするけれど、当地ではとっくに報道ムードは終わってる。よくあることなので。
 
「カースト制度があるから、インド事業は難しい」という理由を、
インド事業がうまく行かない理由にしている経営者のコメントを時折見るが、それは非常に薄っぺらい理由付けだと思う。
中国は不動産バブルが崩壊する! だから中国投資は止めよう!というのと同じくらい滑稽な理由。
(私が社会人になったことから中国バブルは弾けそうなのですが、いつ弾けるの?
 中国とインドの比較も書いていくつもりですが、中国は引き続きbullで問題ないと思っています)
うんうん、やっぱり海外は難しいよね~、と世間様が頷いてくれそうな理由を述べて、
事業が上手く行かない理由にするのは逃げだと思う。
 
はっきり言って、普通に職務を推進するレベルでカーストを意識することはありません。
カーストに起因して仕事の進みが遅くなることはありますが、
カーストの問題のせいで「事業の発展、継続が難しい」というレベルで仕事している会社は殆ど無いはずです。
(詳細全く存じ上げませんが、マルチスズキのように30年この地で根を生やして拡大されてきた会社さんであれば、
 社内でセンシティブな扱いが必要な気がするけれど、後発の日系企業では関係ありません)
 
カーストに関係するような問題点は全てインド人スタッフが解決してくれるし、
また、「知識も無しに不用意に触れてくるな」という雰囲気も感じる。
 
2年弱生活し、それなりにカースト関連の本を読んでも、
「カースト制度があるから、インド事業は難しい」なんてことは軽々に私は言えない。
この言葉を腹の底から言えるようになるためには、インドでいくつもの修羅場をくぐり
相当大きな組織を運営しつつも、個々のスタッフとの深い関係を築けるような襟を開いた心が必要だろう。